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長月 探訪

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まだ暑い日が続いていますが、実りの秋はすぐそこまで来ています。和風月名では9月は「長月(ながつき)」。解釈には諸説ありますが、もっとも多く支持されるのが「夜が長くなる月だから夜長月」というもの。一見正しいようにも思われますが…。実は「なが」という言葉には、「長い」以外にもさまざまな意味が隠されています。古来からの仮説を取り上げつつ、長月についてさぐっていきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「長月」解釈の有力説「夜長月」の問題点とは?

 

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脱穀後の稲藁を集めた藁におと稲の切り株から伸びた青い芽

「長月」という月名について、江戸時代の国学者賀茂真淵は著書『語意考』で、

九月を奈我月と云は、伊奈我利月の上下を略(はぶ)きいへり。稲は九月に刈りおさむる也

と記し、奈我月(ながつき)は「伊奈我利」=稲刈り(いながり)の上の「い」と下の「り」が欠落して「なが」となったものだ、と説明しています。国学者系の主張は和風月名の意味を稲・水田と結びつけて解釈するスタイルで、ここでもその流儀を踏襲しています。ただこれは例外的な解釈。
平安時代後期の『奥儀抄』(藤原清輔)では、

九月 ながつき  夜やうやうながきゆゑに夜なが月といふをあやまれり。

とあり、また『下學集』(東麓破衲 1444年成立)も「長月(ナカツキ)〈夜長時分故云也〉」としています。江戸時代後期から明治時代にかけて刊行された『倭訓栞』(谷川士清)でも、「ながつき 九月をいふ、長月の義、夜長月ともいへり」として、平安期以来「長月」は主に「夜が長い(長くなる)月」の意味として解釈されてきました。現代の解釈も、これに沿った説明が大半を占めています。

「なが月」を「(○○の)長い月」と解くのは、他の月の和風月名解釈でしばしば見られるダジャレめいた強引な仮説と比べると、シンプルで素直です。素直すぎるかもしれません。
しかし、それが正しいのならばもっとも夜が長くなる冬至が含まれる旧暦十一月(新暦の11月下旬~翌1月の半ば頃までで移動)こそ、「長月」とするべきということになりますし、また夏至が含まれる旧暦五月が「昼長月」になぜならないのか、という疑問も湧いてきます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

人恋しくなる秋は夜が長く感じられる…?長月のロマンチックな仮説

 

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