Q. 世界最大の3Dコンテンツ制作ソフトUnityが急成長している最大の理由は?
ヒント: 世界中のゲーム製作者たちは、ソフトウェア会社に何を求めているでしょう?
今日の記事では、世界最大の3Dコンテンツ制作ソフト会社であるUnityの上場申請書から、この会社の非常にユニークなビジネスモデルを勉強してみたいと思います。
Unityという会社は、スマホゲームを作っている方であれば必ず聞いたことのあるソフトウェアです。
多くのゲーム開発者に利用されているもので、最近Appleとの訴訟で話題になっている、Fortniteを要するEpic社と競合関係にあります。
Unityのビジネスモデルは非常にユニークで、ソフトウェア開発企業とは思えないような上場申請書 にもなっているので注目して下さい。
Unityとは
We believe the world is better place with more creators on it - John Riccitiello, CEO
ミッションは「クリエイターの思いや想像を現実にする会社」です。
上場申請書に書かれているKPIのサマリーとしては以下のようなものが挙げられています。どれも非常に大きな数字であることを、直感的にご理解頂ければと思います。
・月間アクティブクリエイター数:150万人
・スマホ/PC/コンソール市場の50%のゲームがUnityで作られている
・Unityで作られたアプリの月間ダウンロード数:30億
・新規プロジェクト数:1.5万/日
・全世界190カ国のクリエイターが利用
Unityで制作されたゲームやコンテンツを見てみましょう。
「Playrix」や「オリとくらやみの森」などなど、有名どころのゲームやコンテンツがUnityによって開発されています。
こちらにある通り、ゲーム以外にも利用されているソフトウェアで、建築映像、そして自動車、輸送機産業にも利用されています。
Unityユーザー(クリエイター)のエンゲージメント
We have a highly engaged base of creators, with users of our Unity Pro product spending an average of 4.9 hours per day actively using our platform in the year ended December 31, 2019, and an average of 5.1 hours per day for the six months ended June 30, 2020.
Unityのビジネスとしての強みのひとつは、クリエイターに愛されていることだと言えるでしょう。
Unity Proを使うユーザーは、2019年では平均1日4.9時間使っていて、2020年では5.1時間/日に上がっています。
クリエイターが1日に5時間以上利用するソフトウェアであるというだけで、どれだけクリエイターの仕事に欠かせないものなのかをご理解頂けるのではないでしょうか。
主要株主(Cap Table)
Cap Tableを見てみましょう。
・Sequoia Capital: 24.1%
・Silver Lake: 18.2%
・JA Technologies: 8.2%
・John Riccitiello(CEO): 3.4%
・David Helgason(創業者): 4.4%
筆頭株主はセコイアキャピタルで、シルバーレイクが2番目に続きます。CEOと創業者はそれぞれ3.4%と4.4%という持分になっており、これまでに非常に多くの金額を調達して、株式が希薄化してきたことが読み取れます。
売上・営業利益
四半期あたり$184m(約184億円)が売上、営業利益が-$24.8m(約△24.8億円)です。
・売上YoY+42.4%
・営業利益率 - 13.4%
2つを足すと29%なので、SaaSの「40%ルール」は満たしません。
SaaSビジネスとして見ると、売上成長率を大きくするか、売上成長率をこのまま維持しつつ営業利益率の改善が要求される、というのが投資家からのプレッシャーになるでしょう。
一方で、この会社をSaaSビジネスとして見るのが良いのかどうかというのは、常に疑問が残ります。
https://www.wowapp.com/w/kaoru.ikeda/