Q. PayPalは、eBayから独立して5年で取扱高が何倍になった?
A. 取扱高は独立後5年で3.2倍に成長。売上やユーザー数は2倍以上に増加しています。
オンライン決済、送金サービスを提供するPayPalの2020年度第2四半期(4月-6月)の決算書をベースに、PayPalについて解説したいと思いす。
PayPalは1998年に設立し、2002年にeBayに買収され子会社化していましたが、2015年7月に独立したので、独立後5年間でどのような成長を遂げたのかを見ていきます。
PayPal Q2-20 Investor Update(2020年7月29日)
初めに、Total Payment Volume(TVP:総支払額)という、いわゆる取扱高(GMV)に相当する数字を見てみます。
2020年度第2四半期の取扱高は、$222B(約22.2兆円)で、前年同期比(YoY)+30%となっています。スライドを見ても分かる通り、直近1年間において今四半期のYoYの成長率が最も高くなっています。コロナウイルスによるオンライン利用増加の影響が出ていると考えられるでしょう。
こちらは四半期毎の売上を表したスライドになります。今四半期の売上は約$5.3B(約5,300億円)で、YoY+25%となっています。
取扱高、売上共に非常に高い成長率を維持していることが特徴的です。
2015年にeBayからPayPalが独立へ
元々、PayPalが急成長したきっかけは、ネットショッピングや、ネットオークションサイトのeBayでの支払いに活用されていたことが理由でした。要するに、お互いシナジー効果が働きやすい状況だったというわけです。
しかし、ユーザーの購買行動がPCからスマホに変化していく中で、eBayはスマホ対応が遅れた一方、PayPalは見事にユーザーのニーズを捉え、早いスピードで成長していきました。
より詳細な内容は無料の上記記事を読んでいただければと思いますが、簡単に言うと、PayPalは独立前からいち早くスマホ対応をしたことで、とても順調な成長を遂げていたことは確かです。
PayPalは、eBayから独立して5年で取扱高が何倍になったのか?
では、PayPalはeBayからの独立後、どの程度成長したのでしょうか?
答えは、こちらのスライドの図を抜粋した画像をご覧ください。ユーザー数(Active Accounts)、取扱高(TPV)、売上(Revenue)、1株あたり利益(Non-GAAP EPS)それぞれの今四半期と5年前の同期比での成長率が記載されています。
いずれも四半期当たりの数字です。
売上:2.3倍 ($2,297M/約2,297億円→$5,261M/約5,261億円)
1株あたり利益:3.2倍 ($0.33→$1.07)
ユーザー数:2倍(171万人→346万人)
取扱高:3.2倍($69B/約6.9兆円→$222B/約22.2兆円)
上記4つの指標に関して軒並み大きく成長をしており、独立後の5年間でとてもうまく事業が伸びていたことが分かります。
eBay依存の脱却の歴史
PayPalの初期の成長要因は、eBayの購買時に活用されていたことが大きいと前述しましたが、独立後にeBayへの依存度はどのように変わってきているのでしょうか?
こちらのスライドの一部を抜粋した画像は、水色のグラフが店舗向けサービスの取扱高、濃い青のグラフがeBay経由の取扱高を表しています。
PayPalの店舗向けサービスの取扱高推移
=> 年次平均成長率(CAGR):29%
eBay経由の取扱高推移 => 年次均成長率(CAGR):1%
eBay経由の取扱高が横ばいなのに対し、店舗向けは未だにCAGR29%と、非常に高い成長率を記録しており、金額的にも圧倒的に店舗向けの取扱高が大きくなっており、eBayへの依存度は日を追うごとに下がってきていると言えます。
上図は、eBayとPayPalの上位15のマーケットプレイスサービスを提供する顧客の取扱高成長率を比較しているスライドを一部抜粋した画像です。
直近の1年間で、PayPalの上位顧客の方が、eBayの7倍の成長となっています。今四半期だけ見ても、eBayの3倍も上位顧客の取扱高が成長しています。
https://www.wowapp.com/w/kaoru.ikeda/