夏山の天候やテント泊について、注意点やポイントをおさえ、テント泊登山を安全に楽しみましょう。
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で外出の自粛を呼び掛けている自治体がある場合は、各自治体の指示に従いましょう。
テント泊登山のススメ
道具の準備は大変ですが、山小屋泊よりも安く、リーズナブルという点も魅力のひとつです。
夏山の天候と注意点
点がいくつかあります。事前にリスクを知っておくことで、山をより楽しむことができますので、きちんと確認しておきましょう。
■熱中症
山は涼しいイメージですが、昼間はよほど高い山でない限り暑く、日差しも強いです。感染症対策でマスクをつけて登山される方も多いかと思いますが、人と距離の取れる場所ではマスクを外し、こまめに水分補給をすることを忘れずに。テント泊装備は、山小屋泊や日帰り登山と比べて荷物も多いので、ゆっくりとしたペースでテント場につけるようにスケジュールを組むと安心です。
■積乱雲の発達(発雷・強雨)
「朝は晴れていたのに!」と思うことが夏山では多々あります。夏場は、午後になると積乱雲が発達しやすくなります。これは、地表付近が暖かくなり、比較的気温の低い上空との温度差が大きくなって大気の状態が不安定になりやすい条件があるほか、冬と比べて夏場の空気に含まれる水分量が多いためです。積乱雲が発達し、雲の底が暗くなると次第に雨が降ってきます。しとしとと降る雨でなく、ザーッと降る強い雨です。テントを張っている最中に降ると、荷物が濡れるだけでなく、気が滅入ります。夏場は特に早出早着を心がけ、お昼ごろにはテント場に到着していると良いですね。
■低体温症
意外かもしれませんが、夏場でも低体温症は起こりえます。汗をかいたままの状態でいる場合や、夕立にあって服が濡れてしまった場合などに低体温症をおこす可能性があります。2009年7月北海道大雪山系トムラウシ山では、8名の方が低体温症で亡くなるという痛ましい事故が起きました。私は、雨に降られた場合に極力服や体を濡らさないようにするため、雨具を一番取り出しやすいところに収納し、事前に避難小屋の位置を確認しています。また標高の高い山では、夏でも肌寒く感じることもあるので、小さく収納できるダウンを持っていると重宝します。
テント泊装備
山小屋泊の装備に加えて、テント泊用の装備が必要なため、ザックは40L以上になります。
※山小屋泊装備については、以下の記事をご参考にしてください。
①登山用テント
キャンプで使用するテントと異なり、軽量化されています。現地に行く前に設営練習をしておくと、本番でスムーズです。ダブルウォール型は結露がしにくいです。
②寝袋
夏のテント泊であれば、夏用の寝袋が小型で軽量なためおすすめです。オールシーズン用のものがあれば、厳冬期でなければ衣服で調節ができます。羽毛、化繊(化学繊維)2タイプありますが、それぞれメリット・デメリットがあります。コンパクトさにこだわるなら羽毛を、シングルウォール型のテントで結露が心配な場合、水濡れに強いナイロンのものを選ぶと良いでしょう。
③テントマット
大きく分けるとエアーマット、折畳みマットの2つのタイプがあります。軽さと手軽さ重視なら折畳みマット、コンパクトさ重視ならエアーマットをお勧めします。私の場合、夏は折畳みマット1枚を使用しています。身長が165センチありますが、120センチのマットを使用して、枕にダウン、足元にザックを敷いています。
④LEDランタン
ヘッドライトと併用できるものもありますが、電池の容量もあるので、私は別に用意しています。
⑤レジャーシート
テントの中はせまいので、荷物の整理をする際にあると便利です。
⑥ダウンなど小さく収納できる防寒着
枕としても使えます。
荷物が増える分、重くなりますので、それに合わせた体力づくりやプラン作成を事前に行っておくことも、安全・快適に楽しむために必要です。
テント泊が初めての方には、2名以上で荷物を手分けし、山小屋の中で食事をとるプランがおすすめです。テントも軽量化されてきましたが、やはりそれでも嵩張ります。例えば、本体担当とポール(骨組み)担当と手分けすることでだいぶ楽になります。また、自炊するとなると、調理器具や材料なども必要となってきます。事前に山小屋で食事のみの提供を行っているかを確認して、食事は山小屋のお世話になるのも良いですね。
夏山の天候とテント泊装備のポイントをおさえて、この夏、自分なりのテント泊登山を始めてみてはいかがでしょうか。
※テントは指定された場所でのみ張ることが可能です。また、現在多くのテント場では、予約制となっています。事前にテント場を管理する山小屋のHPを確認するようにしてください。