辛いものといえば唐辛子。爽やかな辛さの青唐辛子と、ホットな辛さの赤唐辛子。育てやすいので、家庭菜園で栽培している人も多いのではないでしょうか。でも、この唐辛子、地域によってどうやら呼び方が違っているようです。
栽培が簡単なので初心者向き。青い実がだんだん赤くなる
唐辛子は数多くの種類があり、世界中で栽培されています。日本だけでも各地方ならではの唐辛子が生産され、激辛のものやそうでもないもの、細長いものやコロンと丸いもの、黄色やオレンジ色のものなど、実に多くの品種があります。
中でも家庭で育てやすい品種は、おなじみのタカノツメ。これを乾燥させて粉末にしたものが一味唐辛子です。
タカノツメはピーマンなどと同様に、はじめのうちは青色の実ですが、収穫せずに放っておくとだんだん赤くなります。花が咲いてから20日ほどで、青唐辛子の実がなってきます。そのままさらに40日ほどすると、鮮やかな赤い色の唐辛子に熟します。
旬は青唐辛子が7~9月、赤唐辛子は約1ヵ月遅れて8~10月。爽やかな辛さの青唐辛子、ホットな辛さの赤唐辛子、それぞれお好みの時期で収穫することができます。
北海道・東北では「なんばん」。北陸ではご当地なんばんも
北海道や東北では年代にもよりますが、そばやうどんにかけるピリッと辛い粉を「なんばん」と呼びます。つまり、七味唐辛子のことを「なんばん」と呼びがちです。でも、南蛮漬けや鴨南蛮の「南蛮」と、七味唐辛子を指す「なんばん」とは、きちんと使い分けているようです。
北海道・東北の郷土料理に三升漬けがあります。これは青い唐辛子、つまり青なんばんをしょう油と麹につけた保存食で、まさにご飯のお供。レシピを見ると、普通に「青なんばん」と書いていたりします。
「なんばん」という呼び方は、北陸でも見られます。新潟の長岡市では、見た目がピーマンによく似た「かぐらなんばん」という唐辛子が伝統野菜として栽培されています。また、石川の白山市では、長さが13cmにもなる細長い「剣崎なんば」が栽培されています。どちらもご当地唐辛子で、両市のホームページではレシピなども紹介されています。
九州の一部では「こしょう」と呼ぶ。柚子胡椒の原料は青唐辛子
北海道・東北・北陸など雪が多い地方とは対照的に、暑い九州では唐辛子のことを「こしょう」と呼ぶことがあります。
有名な例では柚子胡椒。材料はいたってシンプルで、青い柚子と青唐辛子と塩。青い唐辛子が使われていますが、出来上がったものは「柚子唐辛子」ではなく「柚子胡椒」と呼ばれます。
北海道では七味唐辛子のことを「なんばん」と呼びますが、九州の一部では一味または七味唐辛子のことを「こしょう」と呼びます。そして、普通の黒い胡椒のことは「洋こしょう」と呼んで区別するそうです。
長野では、栽培される唐辛子によって、「なんばん」と「こしょう」の両方の呼び方が使われています。長野で栽培されている伝統野菜のうち、唐辛子は8品種。ししこしょう、ぼたんこしょう(ぼたごしょう)、ひしの南蛮、そら南蛮、高遠てんとうなんばん、芝平なんばん、鈴ヶ沢南蛮、そして大鹿唐辛子の8種類です。この8品種の中で、「こしょう」があったり「なんばん」があったり「唐辛子」があったりします。
唐辛子を「なんばん」と呼ぶか「こしょう」と呼ぶか問題ですが、長野では七味唐辛子のことを何と呼ぶのでしょうか。気になるところです。
暑いと辛いものが食べたくなる
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